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河瀬塾のよもやま話~part15~

有限会社河瀬塾の更新担当の中西です。

 

さて今回は

🧯 吊り足場・橋梁・河川の特殊案件

 

― “落ちない・揺れない・逃げられる”現場をつくる ―

地上設置が困難な領域、つまり橋梁桁下・河川上・プラント密集地などで活躍するのが「吊り足場」です。
この工法のカギは、
1️⃣ アンカーの健全性と冗長性
2️⃣ 共振・ねじれの制御
3️⃣ 非常時退避計画
の三本柱。

ここでは、母材適合→試験→設計→運用→救助までを一連の流れで体系的に整理します。


1|アンカーと母材:適合と試験 🪝

要素 内容
母材の種類 RC/鋼/岩盤で選定が異なる。引抜・せん断試験を実施し、余裕度(安全率)を確認。
二重化 吊点ごとにバックアップアンカーを設置。主系統が破断しても吊荷を保持できる冗長設計。
角度制限 アイボルト角度は45°以内。超過すると偏荷重→抜けリスク上昇。
腐食・化学環境 塩害・薬品飛散が想定される場合は、ステンレス材や防錆被膜を採用。

🎯 「引抜試験で証明、二重化で保証」。アンカーが吊り足場の命綱です。


2|吊材・配索:ねじれと共振を制御する 🎛️

  • 左右対称配索が基本。ワイヤやチェーンの取り回しはねじりを生まないルートを選定。

  • **ねじれ防止部材(スイベル・ターンバックル)**を併用。

  • 共振対策

    • ブレース追加で剛性アップ。

    • ダンパー設置で固有周期を短縮し、風・列車風・車両風との同調を回避。

⚙️ 吊り足場の安定は「剛性×非同調」。振れを許さない設計が要。


3|面と開口:二重ネットと落下ゼロ設計 🕸️

  • 二重ネット+幅木で落下物を完全封じ込め。

  • 荷揚げ開口は常時閉鎖+専任合図者で管理。

  • “モノが落ちない現場”=“人も落ちない現場”。

  • 開口部の周囲には反射材付きロープで視認性を高める。

🧵 「落ちる」より「落とさない」設計を最初から入れる。


4|河川・出水期:係留と流体管理 🌊

要素 内容
係留計画 流速・風速を想定し、アンカー・ワイヤの張力バランスを設計。
出水期対策 出水想定時には仮排水路+濁水処理設備を整備。
環境配慮 濁水・浮遊物・油膜の発生を抑制する処理計画を施工計画書に明記。

🌍 “環境も安全の一部”。河川作業では法令だけでなく地域の理解が品質です。


5|非常時退避・救助計画 🚨

  • 退避ルート・合図方法・夜間照明・救命具配置を一枚図で明示。

  • 毎四半期の救助訓練で“身体で覚える”。

  • 無線通信・警報音・ライトサインを併用した複数伝達経路を確保。

  • 作業員ごとに救命胴衣+ライト+ホイッスルを標準装備。

⛑️ 「計画が命を救う」。有事は紙ではなく身体の記憶で動く。


6|運用:点検タグ × 写真 × 48h是正 📷

点検区分 内容
始業前点検 アンカー・吊材・ネット・開口閉鎖・照明を全確認。
定期点検 週次・月次で記録簿+写真。タグの色替えで“最新性”を示す。
異常時点検 強風・豪雨・地震後に全数再確認。
是正ルール 不適合箇所は48時間以内に是正100%。進捗をKPI管理。

📸 記録が信頼をつくる。“締結”と“写真”はセットで残す。


7|ケース:橋梁桁下の塗装改修 🌉

施工条件:
・地上設置不可(橋下50m)
・風圧・共振・夜間作業あり

実施ディテール:

  • アンカーは母材試験→本数余裕設計

  • 吊材は左右対称配索+スイベルでねじれ防止

  • ダンパーで固有周期短縮

  • 二重ネット+幅木+合図者配置

  • 夜間照明+救命具常備

成果:

  • 無事故 ✅

  • 工程遵守 ✅

  • 苦情ゼロ ✅

🎯 設計8割・運用2割。準備が現場を救う。


💪 まとめ:吊り足場は“設計8割・運用2割”

吊り足場の安全性は、アンカー適合×周期制御×救助計画で決まります。
設計の段階で「落ちない・揺れない・逃げられる」を組み込み、
現場では点検と訓練でそれを維持する。

🏗️ 安全は“技術の延長線”。吊り足場の精度が、その会社の信頼を映す。


✅ 現場で今日からできる3つ

1️⃣ アンカー試験結果と設計値を1枚に整理して掲示
2️⃣ 吊材配索の左右対称化+ダンパー設置を徹底
3️⃣ 退避・救助計画図を現場掲示+訓練実施

 

 

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